まわりのひとびと

気になる周囲の人々のこと。時々、脱線。

タクシーのおじさん

 学生時代、住んでいた場所と大学の中間地点でアルバイトをしていた。夜遅く、バイトが終わり家に帰ると、どうやら家の鍵をバイト先のロッカーに置いてきてしまったようで部屋に入ることができない。仕方なく、タクシーで、10分くらいのバイト先に戻ることにした。

 タクシーの運転手さんにも寡黙な人とおしゃべりな人といるが、めったにタクシーに乗らないわたしは、たまに乗ったタクシーの運転手さんがお話し好きなら相手になる。その晩のおじさんもそうであった。家の鍵をバイト先に取りに戻るということを世間話のつもりで話したと思うのだが、降りる時にその運転手のおじさんは
「待っててあげるよ」と言った。
それは怖い。夜は遅いし、1人暮らしであることが知られている。降りた地点で家の位置も知られてしまう。(拾う時はわからなかっただろうけど)
「大丈夫です」と断って店に駆け込み、しばらく時間をつぶしてバイト仲間が終わるまで待ち、送ってもらった。

夜中の客確保のセールトークだったのかもしれないが、大昔のいたいけな女子大生には怖かった。