まわりのひとびと

気になる周囲の人々のこと。時々、脱線。

移動する男

地下鉄に乗った時のこと
車内は空いていて、座っている人が3割、4割くらい

とある駅から乗ってきた、少し冴えない私服の20代の青年
左どなりの人とひとつ席を空けて座っていたわたしと、その女性の間に座った。
車内はすいていたので、わたしの右側3、4人分は空いている。席に余裕があるのに他人3人が固まって座っているのも狭いかと思って、わたしはひとつ右側に席を移った。
恩着せがましいわけではないが、ゆったりと座れるように、となりの青年のためでもあったのだが、彼はすっと立ってすぐ向かいの席に移動してしまった。
あら?何か気を悪くしたかな?
向かいの席に移動した彼を観察してみると女性の間に挟まれている。
狭いところが好きなのか?
次の駅で彼のとなりの女性が降りて空席になった途端、彼もすぐ降りる。
不思議に思ってずっとホームを歩く彼を目で追うと、なんと、となりの車両にまた乗ってどこかに座ったようだ。

この不思議な行動をする彼を勝手に分析するに、彼は女性ふたりに挟まれて座ることだけを目的に地下鉄に乗っていたように思われる。わたしの横に座った時も向かいの席に移った時も、モゾモゾしたり手が変な動きをしたり、などということはなかったから、ただただ挟まれて座りたかったのだろう。気を利かせて席を空けたり、となりの人が目的地で降りたりすると移動して最適の場所を選ぶのだ。     地味だけどキモい。

 そして今日もそこそこの乗車率のどこかの地下鉄では彼が車両から車両を渡り歩いて彼にとって最適の場所に座っているのだろう。